昭和の残像

旅先でふと気になって撮った写真をモノクロに変換すると、不思議と昭和を感じさせてくれるものになることがあります。 そんな写真を簡単な説明とともに載せていきます。

2023-01-01から1年間の記事一覧

昭和喫茶

倉敷にある喫茶店です。こういう装飾性の高い建物が減ったのは、時代の好みの変化だけでなく、決まりきった型の工法や素材以外での施工の費用が高くなり過ぎたせいではないかとも思います。キッチュと言えばその通りなんですが、喫茶店にロマンがあった時代…

水飲み場拾遺2

岡山の丸型に対し、新宿区戸山町の角々した水飲み場です。水を飲むとは如何なる行為なのかという哲学的思索さえできそうな、同じ目的のために作られた、周囲の造作も含めあまりにも対照的な建造物という気がします。 戸山町

水飲み場拾遺

岡山市内の公園にあった水飲み場です。落葉の散り具合と円形の基台がとてもすてきでした。 岡山

水飲み場二選

公園にある、水飲み用の水道です。昔からあって、気がつくと大抵は平成の匂いのする作りに変わっていました。ときおり見つける昭和の水飲み場を写真に収めました。 一つ目は港区のもの。モダンですが懐かしい形状です。まだ時々見かけるタイプです。横に下向…

スナック

スナックというのも懐かしい響きがあります。おとなが行くところという感じで、憧れと嫌悪が入り混じった気持ちを持っていた記憶があります。「クラブ」はその上級版という感じで、とても自分が行けそうな気がしませんでした。 その後「カラオケ・スナック」…

軒先の坂

これも金沢主計町の坂です。 狭い路地の軒が重なり合うようにして建つ家々(料亭、揚屋なのでしょうが)が魅力的です。そして坂と一体化している左側の建物。鉢植えの植物も、「ガーデニング」などという外来語とは無縁の、正しい昭和の暮らしの風景です。 坂

散歩道

コロナで在宅の頃よく散歩した道です。 昭和40~50年代に建てられた住宅地が広がっています。 良い景色というわけではありませんが、急に視界が開けるのは悪い気分はしないものです。 散歩道

平和の塔

戦後、昭和20年代から30年代にかけて、日本人の平和への思いは強く切実なものがありました。日本の各地に平和を願う塔や彫刻、モニュメントや石碑などが建てられました。その「思い」は、昭和という時代を越えて大切にしたいものですが、いつしか平和の塔そ…

野毛の菓子屋

野毛のお菓子屋さんの建物です。 店名が季節に合いました。 野毛の菓子屋

新聞配達少年

有栖川公園にある彫刻です。 新聞配達の少年。実に昭和的です。遅からず歴史的事実を伝える文化財になるかも知れません。作った際には思いもよらないことが起こる、これが時代の流れというものでしょうか。 新聞配達

原宿のプラットフォーム

ところは原宿、向こうに走っているのが山手線、そして手前がいわゆる宮廷ホームです。天皇・皇后・皇太子などが乗るお召列車専用のプラットフォームで、2016年に開業110周年記念で一般公開されたことがあるようですが、今は見ての通り荒れ果てています。適荒…

地に足の着いた住まい

元麻布のとある小さな通りで撮った一枚です。 前景の民家と背景の高層ビル(森ビル系ですね)との対比が、アジアのどこかの国の首都にありそうで、日本もアジアであることを痛感します。この辺りを散歩するのが好きなのですが、昭和を感じさせるものは確実に…

渡月橋

ずいぶん前に、夕闇迫る冬の嵐山で撮った写真です。 京都に関するアンビバレンツは「好き」に傾くときと「嫌い」に振れるときが交互に訪れます。今は少し「嫌い」に傾き始めた感じです。ちなみに、パリは絶対そういうことにはならず、いつも「好き」です。 …

沈む町の底へ

麻布台ヒルズが建設される前の、霊友会を背にして崖下の通りへと降りる坂の上から撮った写真です。2017年12月のものです。翌年4月に再度訪れた時には、住宅街は丸ごと取り壊され、工事が始まっていました。今は恐らく変わり果てた姿になっていることでしょう…

台座

石が続きます。 掃部山公園にあった石の台座です。その上に銅像か何かがあったのでしょうが、恐らく戦時中の供出でなくなってしまったのでしょう。わさわざ台座を壊すのもお金がかかるので、日本国中結構こういうのが残っていますね。まさに昭和の残像として…

水石

ちょっと「昭和」とは離れるのですが、今回は「水石」です。よく「盆石」と混同されますが、盆石は自然の景物に見立てるため多少なりとも作為が働きますが、水石は置き方の工夫はしますが石そのもので自然の景色を見立てます。これを知ったのはつげ義春の「…

イタリア料理レストラン

横浜福富町の商店街の風景です。 雰囲気がまったく昭和で嬉しくなります。 イタリア料理「イタリーノ」、何とも舌足らずな感じが楽しいですね。書体もどこか懐かしい。 もちろん、料理サンプルの陳列棚が通りに面して出ています。 「わざと」受けるようにや…

農家の中庭

柏にある旧吉田家住宅の中庭です。豪農の暮らしぶりを知る事が出来る歴史公園となっていて、見学も出来ます。 もう5年ほど前になりますが、見学した際に撮りました。スポーツ刈りと野球帽の小学生は今どき珍しく昭和の感じがありますが、半ズボンと運動靴が…

美晴荘

蒲田にある堂々たる建物です。 会社の寮なのだと思いますが、廊下の両側に部屋が続く昔のアパート風です。石造りの立派な門と塀、そして壁面に掲げられた家紋が目立ちます。何となく、戦国武将の足軽用の長屋のような気がして来ます。昭和の映画によく出てく…

路地

和歌山県海南市で見つけた路地です。 向こう側からランドセルを背負った子どもたちが駆け出してきそうな気がします。 狭くて懐かしさのある路地ですが、自分が「よそ者」であることを痛切に感じさせる場所でもあります。 路地

午前中の公園

気持ちの良い気候の朝でした。 昼までの時間を持て余していた私がぶらりと立ち寄った公園です。 ベンチに腰掛け、鳥の囀りを聞きながら目の前に広がる景色を撮りました。 均整がとれているのにレトロ感が漂います。 とてものんびりと緩やかな時間を過ごすこ…

適荒の庭

掃部山公園で撮りました。 タイトルの「適荒」は造語です。適には訓がないので「てきこう」と読むしかなさそうです。「適」には心地よいという意味もあるので、心地よさを感じさせる程度の荒れぶり、くらいの意味にしたいと思います。 何故そんなことを思い…

奈良の大宇陀にある森野旧薬園から望む、森野家を含む街並みです。薬草や葛で有名で、牧野富太郎博士も訪れたことがあるそうです。こじんまりとした盆地に開けた小さな地域ですが、街並みも美しく自然にも恵まれていて、とても良いところです。万葉の丘とい…

池田種苗店

会津若松にある七日町通りの風景です。 「保存地区」感はありますが、見ていて楽しい建物が続きます。昭和というより、明治大正なのかも知れません。こんな立派な通りが、かつては地方にもたくさんあったことでしょう。 七日町

ジャック&ベティ

横浜にある映画館です。 いわゆる典型的な昭和の映画館ではなく、昭和の頃にはむしろお洒落な部類に入る映画館だったと思います。渋い作品やマニアックな映画を上映してくれます。昔の名画座的なプログラムもあり、たまに観に行きます。場所は伊勢佐木町の通…

おでん街

静岡にある青葉おでん街の写真です。 暗めの写真ですが、提灯が主役なのでそのまま載せます。 書体や店名に昭和を感じます。 静岡おでんは好き嫌いが分かれるようですね。 ゆうちゃん

横浜南区の住宅街で見つけた住居の扉です。 何となく、開くと物語が待っていそうな玄関扉です。 子供の頃、父母に連れられて行った遠い親戚の家のような懐かしさがありますね。 扉

モルタル

昭和の建築の代表と言えばモルタル造りではないでしょうか。 今は様々なサイディングが主流のようですが、モルタルのあの独特の安っぽさと存在感がとても懐かしく感じられます。建物全体に特有の匂いもあったように思います。 写真は横浜戸部の岩亀横丁にあ…

函館山から

海が続きます。 昭和の時代に訪れた函館は賑わいがありました。函館出身のサークルの先輩に連れて行って貰った寿司屋のある飲食店街は、今はスカスカの駐車場に成り果てています。 函館生まれの妻の親戚が持つ、谷地頭の先の函館山の中腹にある家から撮った…

海への視線

西伊豆の港です。 今回の「昭和」は、自分の中にある海に対する昭和的なまなざしです。 何がどうと説明することは出来ないのですが、私が海を見る時、それは令和的でも平成的でもなく、紛れもなく昭和的だと感じるのです。ATG映画の、つげ義春の海だと言えば…